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慌てなくていい。急がなくていい。前を向いて、少しずつ。地に足つけて、一歩ずつ。


by hibinag
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ファッションとしての反戦

「米国の戦争」が続いている。

この戦争について、巷間でいろいろ言われていることや、
この戦争が是か非かについて、ここでいちいち書く気はない。
私にとっては、「この戦争」の是非を問う前に、
「戦争」は絶対に受け入れられないものだからだ。

前にも書いたが、正義の戦争、平和のための戦争などあり得ないし、私は認めない。
どんな事情があろうと、どんなに理屈をつけようと、
戦争とは無残な大量殺人であり、大規模な破壊行為でしかない。
この部分に反論できる人がいるなら、ぜひ、その根拠と理論をうかがってみたい。



ところで最近、私はちょっと気になることがある。
それを目にしたのはテレビだったか新聞だったか、あるいはネットだったか忘れたが、
世界各地で行われている「反戦デモ」の参加者に対して、

「きちんと自分の意見を持って参加しているのか?」
「今の複雑な世界情勢をきちんと理解した上で行動せよ」

といった批判が散見されることだ。

確かに、参加者の中には、
何となく雰囲気でデモ(最近はピースウォークなどというらしいが)に
加わっている人もいるだろう。
大いに語弊がありそうだが、もしかしたら今、
デモに参加することは一種のファッションになっているかもしれない。
「戦争に反対するのって、ちょっとカッコいいじゃん」みたいな。

こんな言い方をすると、眉間に皺を寄せる人もいるだろう。
しかし、私は、それもいいんじゃないかと思う。



ものごとをよく理解してから行動する。自分の意見を持った上で、ことを起こす。
立派な心掛けだ。それを否定することはできない。
だが、人間は「考えながら行動する」ことだってできるはずだ。
あるいは、「まず行動。それから理解する」ことも、十分あり得るだろう。

世の中、難しいこと、理解しがたいこと、複雑怪奇なことが氾濫している。
理解できなければ、自分の意見など持ちようがない。
この戦争だって、歴史を溯りつつ、あらゆる事情を一つ一つ丁寧に考慮してしまうと、
どう考えるべきか、わけが分からなくなりそうだ。

だが、ならば、人は行動してはいけないのか? 答えは「No」だ。
以前、肌感覚という言葉を使ったが、
「なんかおかしい」「なんか違う」ってことが、誰にでもあるだろう。
言葉では説明しにくいけど、絶対おかしい。
うまく言えないけど、どうも気色悪い。
ケースによるが、それが動機になっても、私は構わないと思う。


「ケースによる」というのは、例えば「なんかムカつくから殴る」とか、
そういうのは違うよ、ってことです。
それは「殴る」こと自体が「なんか違う」ことなのであって、
「よく分かんないけど、怪しいからイラクを攻撃する」という米国と同じになってしまう(笑)。



難しいことはよく分からないけど、戦争で人が傷つくのは(感覚的に)イヤだ。
だから、デモに参加する。
それでいいじゃないか。
そういうものに触れているうちに、自分の意見や考え方が固まっていくことが、
絶対にないとは言えない。
行動によって意識し、考え、
また、他人の痛みに思いを馳せることもできるかもしれない。

それは、「今、ここにある問題」に対して正面からぶつかることであり、
それが結果として自分なりの理解に繋がる可能性も高くなる。
考えるばかりで結論も出さず、行動もしないよりは、よほど上等だろう。

ファッションとしてのデモ参加があっても、別にいいじゃないか。
それが戦争や平和を意識し、考えるきっかけになるならば。
戦争に反対すること、平和を唱えることがカッコいいことだとしたら、大いに結構。
中味がないのは確かに困りものだが、
形から入って中味が後からついてくることだってある。
せっかくのチャンスの芽を、わざわざ摘み取ることはあるまい。
by hibinag | 2003-03-26 23:18 | 03.主張