慌てなくていい。急がなくていい。前を向いて、少しずつ。地に足つけて、一歩ずつ。


by hibinag
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さんぼアゲイン

差別批判で絶版となっていた「ちびくろ・さんぼ」が復刊するらしい。

「ちびくろ・さんぼ」は小さい頃に親しんだ絵本だ。
黒人差別を助長するとかいうことで絶版になっていたのだが、
それが復刊されるという話。

私は正直、この話がなぜ差別に結び付くのか分からない。
上のリンク先には「ちびくろ」というタイトルがいけないとあるが、
「小さな黒人(の男の子)」と言っているだけで、
例えば「黒人はみんなチビだ」とか言っているわけではない。

それとも「くろ」がイカンのか? なんで?
黒いものは「くろ」としか表現できないよ?
事実が「黒」なのに「白」とか言うほうが、
よほど「黒」に対する差別意識がある
ように思うけど?

新聞記事には、「内容」が問題であるように書かれているものもある。
他の関連サイトもいくつか見てみたが、私なりにまとめてみると、
どうも「黒人を画一的に見ること」がいけない、ということらしい。
物語のディテールを忘れてしまったので何とも言えないが、
例えば「黒人=貧しい」とか、そういうことを想起させるのだろうか?

そうであれば確かに問題なしとは言えないけど、
子供の頃、私はこの話を読んで、そんな思いに至った記憶はない。
例えば、貧しさの描写であれば、日本の昔話にだっていくらでも出てくる。
しかし、だからと言って、「日本人=貧しい」とはならないし、
登場人物がいい人だからと言って「日本人=みんないい人」ともならない。

つまりは「お話」なのだ。物語の設定なのだ。
たまたま主人公が黒人の男の子だというだけの。
それを子供たちが素直に読んで、
「これが黒人の生活のすべて」だと思うのだろうか?

とはいえ、差別をどうとらえるかは難しい。
ついこの前も、BBSでTORIさんと「激論」を交わした。
その時、私は
「誰かが不快な思いをする可能性がある言葉は使うべきでない」と書いた。
そういう意味では、「ちびくろ・さんぼ」の物語も同様のことが言えるのであり、
絶版となった事実も、ある面では仕方なかったのかと思う。

しかしそれでも、私はこの文学作品の復刊を支持する。
この姿勢は、先のBBSでの態度と矛盾するように見えるかもしれない。
だが、歴史観を含む「現実」に沿った事どもの中から出てくるものと、
ファンタジーの世界で起こっているものとは
明確に区別しておく必要がある
と思う。
そんなところまで「助長」だとか言い出したら、
収拾がつかなくなると思うんだけどなあ。

私が黒人ではないから、そんなことが言えるのだろうか?
けど、日本人だって、海外の映画なんかでは、
必要以上に残虐だったり、カネに汚かったりするし、
メガネをかけて首からカメラをぶら下げて歯を出して
キョロキョロしながら歩いていたりする。

しかし、それにいちいち噛み付くなんてのは野暮というもの。
「ああ、やっぱそんなふうに見られとるんやなあ」と静かに苦笑するか、
「大して調べもしないでイージーに作ったなあ」と憐れみの目で見ていればよい(笑)。
それに、そんな人も確かにいるし。

どうも話がそれているようだが、要するに。

差別の問題は、もちろんきちんと考えるべきだし、とらえるべき。それは大前提。
しかし、創作物にまでいちいちそんな理屈を持ち込むのは反対だ。
あまりにもヒドイというものなら別だろうけど、何でもかんでもというのは感心しない。

つまり、「事実」に純然と含まれる差別感ではなくて、
この場合は、読み手の受け止め方ではないのかなあ。
こじつけようと思えば何とでも言えるわけだし、言い出すとキリがない。
そのために、その創作物が内包する本質(面白さとか感動)が
葬られることの方がよほど不幸
なことだと思うのですが。

「ちびくろ・さんぼ」の本質は差別問題か? 違うでしょう?
子供の頃、絵本でこの物語に接した私の中には、
虎がぐるぐる回ってバターになる場面のエキサイティングな感じや、
さんぼや家族がお腹いっぱいホットケーキを食べたという幸福感しか残っていない。
それでええやん。なんかマズい?

サンは近頃、文字(平仮名)を読む能力が格段に上がってきており、
自分で絵本を読むようになってきた。
「ちびくろ・さんぼ」が復刊されたら、買い与えてみたい。
その時、彼はどんな反応をするだろうか。
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by hibinag | 2005-03-03 23:05 | 03.主張