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慌てなくていい。急がなくていい。前を向いて、少しずつ。地に足つけて、一歩ずつ。


by hibinag
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特別な日

昨日、仕事帰りに駅近くのグラウンドの横を通った。
それはいつもの通勤路であり、少し早めの時間帯なら、
照明の下でラグビーやサッカーの練習が行われている。
休日の昼間には少年野球の試合があり、子供たちと、
それを応援する大人たちの歓声が飛び交う。

そのグラウンドに、昨夜は白いテントが立てられていた。
「ああ、そうか。今年も来たんだな」
私はそれを見て思い出す。

特別な日、というものがある。
誕生日や結婚記念日といった個人的なもの。
終戦記念日のような、社会的要素を帯びるもの。
思いや感慨は人それぞれあれど、そのような日は、きっと必ずある。

グラウンドのテントは翌日、
つまり今日行われる記念行事のためのものだ。
1月17日。
阪神・淡路大震災から11年。
少なくともこの地の人々にとって、計り知れないほど特別な1日。

経年風化が叫ばれる中、確かにその地に暮らす1人として、
私の日常からも震災の影はどんどん遠ざかっている。
正直、あのテントを見るまで、私の頭の中に震災はなかった。
(それは、私が直接の被災者ではないからかもしれないが)

しかし。いや、だからこそ。
あのテントは大切なのだと、心の底から思う。

私が現住所に住む直前、今から8年ほど前の夏だが、
あのグラウンドにはまだ仮設住宅があった。
人々の暮らしを、生命を切り裂いた歴史的な1日。
テントが立つグラウンドの風景を目にすることで、
その日付をしっかり刻み続けることの意味は、決して小さくない。
いつまでも、あのグラウンドに人々の歓声が響き合うことを祈りつつ。
by hibinag | 2006-01-17 12:37 | 03.主張