慌てなくていい。急がなくていい。前を向いて、少しずつ。地に足つけて、一歩ずつ。


by hibinag
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ポール特番に物申す

いやヒドかった。多少は想像していたし、あまり期待はしていなかったとはいえ、ほんとにヒドかった。

読売テレビ(以下YTV)とFM802が、同時生放送した「ポール・マッカートニー BIG WELCOME TO OSAKA スペシャル」。FM802では深夜1時から、YTVでは1時20分から朝5時までのオールナイト放送。司会はFM802のDJ・中島ヒロト、歌手・ちわきまゆみとYTVの局アナ・中元綾子。

まず、何がヒドかったって、この中元ですわ。こいつは曲者です。巨人・元木なんて目じゃない。なんせポールが左利きであることを知らないのだから。

いや、1万歩譲って、それは、広い世の中を探せば他にもいるかもしれないが、ポールの特番の仕事をやることはずっと前から分かっていたはずで、それなら多少は予習しておくもんじゃないのか?

予習といっても、そんな大仰なものじゃない。ポール・マッカートニーとはどんな人物か、詳しい人にでも聞いておけばすむ話である。そうすれば、彼がサウスポーであることぐらい、すぐ分かるはずだ。写真を見れば一目瞭然なんだし。

そんなことすらせずに本番に臨んでいたのだとすれば、ポールにも視聴者にも他の出演者にも失礼だ。つか、仕事に対して失礼じゃないか。それでもプロか。

しかも。

「左(で演奏するギタリストやベーシスト)って珍しいんですか?」って、音楽全般に知らんやん!

天然キャラなのはいいとしても、YTVのHPで見ると、もう30歳やん! 「え~、わかんな~い」で済まされる齢ちゃうぞ。どうしてもできないなら、引き受けるなよ。そうでなくても、早朝のレギュラー番組に出るっていうし、無理して出てくる意味ないやん。

きっと、中島・ちわきコンビだけだとFM802だけになっちゃうから、 YTV色を画面に出すために局アナを起用することになったんだろうが、これは明らかにミスキャストである。また、労働体制の面から見ても問題じゃないか?

などと思っていたら、番組が中程を過ぎた頃、なぜか「夜食タイム」が始まった。メニューはすき焼き。「ビートルズが来日した時、ホテルで食べたのがこのすき焼きで…」とか言ってたけど、まるで脈絡がない。つか、単にお前らが食いたいだけちゃうん!とか思ってたら、また中元がかましてくれました。

「すき焼きって、その頃(ビートルズ来日時)からあったんですか?」

さすがに、これにはスタジオ中が爆笑。もちろん、その中味は失笑です。これを見て、私は彼女が真性ヴァカであることを確信した。

話が前後したが、番組の中味はというと、ポールのビートルズ時代やウイングス時代、ソロ時代のプロモを流しつつ、ゲストがトークしたり、ミュージシャンのVTRコメントを流したりというもの。

ですが。

はっきり言って、ゲストのどうでもいい話が多すぎる。ビートルズやポールにまつわるウンチクとか、最近のライブの情報とか、そんな話なら大歓迎だが、そいつらとビートルズ(ポール)との出会いの話なんて、別に聞きたくない。

さらに、ゲストのミュージシャンたちがビートルズやポールの曲を演奏するコーナーがあったりしたのだが、これらもまったく不要。これはポールの特番であって、そいつらのライブの番組じゃない。そんなことに時間を使うぐらいなら、ポールのプロモやライブ映像を1本でも多く流すべきでしょ。どうしてもやりたいんなら、そいつらの特番でやればいい。俺は見ないけどさ。

肝心の選曲もヘンだった。「ポール来阪のための盛り上げ特番!」とか言ってる割に、“Please Please Me”流すなよ。それはジョンの曲やっちゅーねん。

以下、プロモやライブ映像に関する不満の数々。

●ウイングス時代の“Band On The Run”。曲の途中からやるな!

●“Yesterday”~“Here,There And Everywhere”。視聴者からのリクエストに応える形で、ポールの84年公開の映画“Give My Regards to Broad Street”のシーンを放映。が、このメドレーの後には、もう1曲、“Wanderlust”というバラードが続く。その3曲が揃って初めてきれいにまとまるのに、いきなりブチッとVTRを切るな!

●「ビートルズやポールをよく知らない人のために」、番組が作った「ビートルズ・ヒストリー」。ビートルズやポールをよく知らない人が深夜にこんな番組を見るのかどうかが基本的に疑問だが、まあそれは大目に見るとして、それなら正しい情報を伝えてほしいものです。

●ドイツ・ハンブルク時代のくだりで「初めてレコーディングしたのは、今流れている“My Bonnie”」って、流れてたのは“You Can't Do That”なんですけど!?

●それに、“My Bonnie”は、ビートルズはバックバンドとしてレコーディングに参加しただけ。「彼らの」レコードを録音したわけではない。

●“All You Need Is Love”(1967年)のバックに映画“A Hard Day's Night”(1964年)の“You Should Have Known Better”のシーンを流すのはどうよ?

●しかも、“All You Need Is Love”の映像がないための苦肉の策かと思いきや、VTR終盤の“Let It Be”のバックに流してるし。

●そして、「ヒストリー」のVTR明けに、曲者改めヴァカ者中元が超爆弾発言。

「すごいですねえ…。ビートルズよりすごいミュージシャンっているんですか?」

ゲストの萩原健太氏(評論家・ミュージシャン)に「ちょっと、そこ座れっ!」って怒られてました。当然だ(笑)。

●最近のUSツアーのライブ映像が少しだけあった。これは○。「そうそう、こういうのを期待してんだよ」とか言いながら見ていたら、“Band On The Run”、途中でカット。おいおい!

●しかも、番組終盤で”続き”を流してた。なら、初めから通しで流せって!

●“Maybe I'm Amazed”を「1977年」と紹介。が、正しくは1970年。音源はもちろん、映像から見ても、70年とするのが正しい。同曲は、76年の全米ツアーを音源とする3枚組ライブアルバム“Wings Over America”から77年にシングルカットされており、おそらくそれが原因でこうなったのだろうが、そんなにマニアックな話ではなく、はっきり言って勉強不足である。YTVはともかく、802がこれじゃあなあ…。

●「“Hey Jude”のプロモはないんですよ」と言っていたが、あります! ビデオ“Anthology”にも収録されてます。おそらく版権か何かの関係で放送できないというのが本当のところだろう。

●と思っていたら、「というわけですので、ゲストの皆さんの演奏で」ってまたかよ! 進行役の3人もコーラスに加わって、そりゃアンタらは楽しいかもしれんけどさ。

●終盤に発表されたリクエスト・ランキング。こういう発想自体が貧相だが、ここではあえて触れない。

その第5位、「フィルム・ミュージック・メドレー」。 これは、たしか1982年、ビートルズのデビュー20周年を記念して発売された、彼らの映画で使われた曲を集めた企画モノアルバム“Reel Music”のプロモーション用に発売されたシングルで、アルバム収録曲のうちの7曲を編集してメドレー形式にしたもの。おそらく現在は廃盤になっているはずで、かなりマニアックな代物といえよう。到底、ポールの全キャリアの5番目にくるようなブツではない。

5位のくせに5票(ちなみに4位は39票)しか入っていないところからも、「ありもんフィルム」で済ませようというYTVの策略が透けて見える。

●3位の“Back In The U.S.S.R.”は突然、途中から始まって、あっと言う間に終わった。実に荒っぽい見せ方だ。放送時間の関係か?

●と思いきや、1位まで発表した後、さらに2曲ほどやってたし。謎。

●2位は“Love Me Do”。これもあり得ない。しかも番組冒頭で流れてたのと同じフィルムだぞ。

●つーか、1位~5位、全部ビートルズじゃねーかよ!

とまあ、終始こんな具合で、トータルで言えば、実にくだらない番組だった。ポールの最新ライブやインタビューなど、おいしいシーンもあったのに、少なすぎる。せっかくボストンまで取材に行ったのに、何やってるんだ?

もっとも、日本のこの手の番組って、ほんと、こんなのが多い。誰に何を見せたいのか、ターゲットとベクトルをきちんと定めないから、出演者のマスターベーションを公共の電波に乗せるような番組になってしまう。

この番組が放送されることを教えてくれたのは、ポールのライブに一緒に行く予定の友達。彼はメールに「これ見て予習する」とか書いていた。だが、こんな内容では、予習になどなり得なかっただろう。かと言って、もちろん復習にもならないわけで、つまり大部分は何の役にも立たない。さぞかし気分が悪かっただろう。心中を察するに余りある南出であった。
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by hibinag | 2002-10-14 15:03 | 05-1.Beatles