慌てなくていい。急がなくていい。前を向いて、少しずつ。地に足つけて、一歩ずつ。


by hibinag
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林檎の枝葉

■オノ・ヨーコさん、ポール訴えるつもりなし?

「guessの勘ぐり」で取り上げたニュースの続報。DさんのBBSで教えていただいた。TORIさん、情報ありがとうございます。

記事によると、例の表記問題について、ヨーコさんはポールを訴えるつもりはないものの、クレジットを「Composed by Paul McCartney and John Lennon」と表記したことについて、「ビートルズの歴史を書き換えようとしている」と批判したらしい。

16日の日記に書いたとおり、初期においては「McCartney-Lennon」のクレジットも見受けられることから、その後、仮に「Lennon-McCartney」に「統一」することが「取り決め」られたのだとしても、それほど厳格なものではなく、せいぜい「口約束」程度のものだったのではないか、というのが私の憶測だ。

とはいえ、我々一般人からすると、長年親しんできた呼称は「レノン=マッカートニー」だ。これは、法的にどうとか、当事者の約束がどうとかいう次元を飛び越えた慣習、習わしみたいなものだ。それを今さら「マッカートニー=レノン」にしろと言われても、やはり違和感がある。

早い話、明日への橋を架けたのは「サイモンとガーファンクル」であり、「ガーファンクルとサイモン」では、どうもしっくりこない。同様に、仲良く喧嘩してほしいのは「トムとジェリー」であり、「怒るでしかし」は「やすし・きよし」であり、噂の刑事は「トミーとマツ」でなければならない。「なければならない」ってことはないかもしれないが、それが(ほぼ)万人の認知するところではないか。

ということで、仮にポールが「今後はマッカートニー=レノンでいく」と宣言したところで、我々はずっと「レノン=マッカートニー」と表現し続けるだろうし、それは大いに許されていい。たとえ「法的に」そうなったとしても、だ。

だが、それをもってして「歴史の書き換え」などというのは、いささか大仰に過ぎるだろう。例えば、ジョンの名前を完全に消去したとか、ポールが「Help! は僕が作ったんだ」などと主張しているのなら話は別だが、実際には彼が単独で作った「Yesterday」などにも、順序はどうあれ、コンポーザーとして、ちゃんとジョンの名を刻んでいる。

それに、ポールのアルバムにおける順序の入れ替えは、実はこれが初めてではない。76年に発売されたウイングスのライブアルバム「WINGS OVER AMERICA」。ここに収録されているビートルズ・ナンバーのクレジットも「McCartney-Lennon」だ。今回のヨーコさんの主張からすると、すでに「歴史」は書き換えられていることになる。

しかし、ジョンとポールがクレジットの順番でもめたなどという話を、私は聞いたことがない。当時は、活動休止中とはいえ、ジョンも存命中であり、もし異論があるなら、当然、何らかの発言があってもよさそうだが、おそらくなかったのだろう。

ということは、知っていて無視したか、あるいは知らなかったか、いずれにせよ、ジョンにとっても取るに足らない問題だった、とは考えられないだろうか。もし、表記の順序を変えることが「歴史をねじ曲げる」ほどの大問題なら、ジョンも看過できなかっただろう。いや、たとえジョンが黙認したとしても、それなら、当時からパートナーだったヨーコさんは何をしていたのか?

憶測はどこまでいっても憶測でしかないが、名前の順序ぐらいのことで、ビートルズの歴史が「書き換えられる」などということはないと、私は思う。そこに厳然とあるのは、間違いなくジョンとポールの2人あるいはどちらかが作り、ジョージとリンゴを加えた4人が演奏し、歌った作品群だ。そして、それらは今も、世界中で歌い継がれ、支持されている。

歴史とはつまり、そういうことだ。ビートルズが残した音楽は、そんなヤワなものではない。
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by hibinag | 2002-12-19 14:18 | 05-1.Beatles