慌てなくていい。急がなくていい。前を向いて、少しずつ。地に足つけて、一歩ずつ。


by hibinag
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瓦解と解放

ポール・マッカートニーのライブ番組を観た。
といってもビデオで。
先月、NHKのBSで放送されたものを義母が録ってくれたのだが、
ずっと観るタイミングを逸していた。

感想はというと、演奏シーンが途切れ途切れで、
フルコーラス入っていたのはたったの3曲しかなく、
「ライブ番組」としてはイマイチと言わざるを得ない。

しかし、「ドキュメンタリー番組」としては結構よかった。
どこの製作だったかちゃんと確認しなかったが(おそらくはBBCあたり?)、
ライブ映像の合間に、ビートルズが体制から「敵視」されていた旧ソ連時代を知る
ロシアのミュージシャンや反体制運動家、政治家、
文化人などのインタビューが挿入され、
口々に「ポールが赤の広場で歌う感動がどんなにすごいものか」を表現していた。
いや、むしろ、こうしたインタビューの合間にライブ映像が挿入されていた、
といったほうが的確かもしれない。

その中で興味深かったのは、「レントゲン写真のレコード」の話だ。
レントゲン写真を加工すると、音を刻むことができるらしく、
旧ソ連時代、病院で使用済みの写真を回収する商売が流行ったそうだ。
ミュージシャンの一人は、「折れた骨が映っている写真をプレーヤーに乗せて、
よくロックを聴いたものさ」
と話していた。
旧体制下でロックのレコードを手に入れることが
如何に難しかったかを雄弁に物語るエピソードだ。

そうした苦難の時代を経て、憧れのロック・スターのステージを目の当たりにした
中年のオーディエンスの中には、
涙を浮かべながらビートルズ・ナンバーを口ずさむ人もいた。
カメラがその姿をとらえた時、こちらまで涙腺が緩んだ。

旧ソ連の瓦解によってロックを聴く自由を得た人々。
一つの対立軸の崩壊が「解放」をもたらした。
そして今日、「9.11」からまる3年――。
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by hibinag | 2004-09-11 17:28 | 05-1.Beatles